お正月
おしょうがつ

   

江戸時代のお正月は現代ならば節分の頃になり、「初春」そのものとなる。大晦日は元日の日の出前まで掛取りが駆けずり回っていまるが、元旦となれば商家などは戸を下ろし、登城する大名行列のほかは、静かな元旦となるのが江戸の市中。

でも、子どもたちは凧揚げや羽根つきなどに、晴れ着姿で外に飛び出して行く。この作品は、そんな女の子二人。作品のもとになった浮世絵は、幕末の大坂の絵師のものなので、江戸の衣装や髪形とは異なっているのかもしれない。

羽根つきの子は、鼠色地に梅花の丸紋文様の表着で、裏とフキ(裾に回した部分)が黒地に桜花。中着も緋色の、水に桜花の晴れ着がきれいです。襟元からのぞく襟のような腹掛けのようなものも、珍しいいでたちだ。髪形も可愛いらしく、お正月の華やかさをかもし出している。

年かさの子は、折り紙文様に立つ浪の昼夜帯(片面が主に黒地の帯)も、お正月にふさわしい衣装。羽根つきの子の真剣さが伝わってくるような気がする。