金魚売り

「めだかぁ〜、金魚ぅ〜」と炎天下を渋い声で売り歩く金魚売り。  金魚が中国から入ってきたのは、江戸開府直後という説と、もっと早く 十五世紀、室町時代の中期という説などもある。いずれにせよ、その後、 愛玩用としてさまざまに交配・改良されていく。江戸も中期に入ると、金 魚熱はますます高まり、高級金魚の品評会が頻繁に開かれ、金魚を飼うた めの小さなびいどろの金魚玉の普及とともに、庶民のあいだにも一大金魚 ブームが到来した。  さて、作品の金魚売りは金魚玉のない、もっと手軽な販売で、子どもは 丼を持って買いにきている。こんな金魚売りなら、金魚と一緒にメダカも 売る。金魚売りは木陰に涼を求めて、さて一服でも・・・というところに 、かわいい子どもが買いにくる。「そっちのをおくれな。その白いブチの はいったの・・・」と子ども。そこで「金魚売り是れか是れかとおっかけ る」ことになる。