この作品は享保14年(1729年)から宝暦元年(1751年)に活 躍した二代目鳥居清信描いた、「中村喜代三郎の花うりおきよ」の浮世絵 をもとに制作した。歌舞伎の舞台で演じられるのは、若い娘が花売りに身
をやつした姿である。現実の花売りは、おばあさんもいたがほとんどが男 で、大きな竹籠や四角い竹籠を二、三段にして、天秤棒で担って売り歩く。 おばあさんは筵(むしろ)に花をくるみ、小わきに抱えるスタイルとなる。
活け花用の花はごくわずかで、おもに仏壇にお供えするものを売った。江 戸では四当銭(四文銭)を使うので、花の値段も四文から、高いのは六四文くらいまであり、すべて四の倍数となる。 |